2曲目は、うってかわってショパンのワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」。ショパンには堅めの音ですが、女性らしい繊細さを感じさせる叙情的な歌い方で、好演と感じました。わけても素晴らしいのは美しい音色で、強靱なタッチながら、煌めきのある音を響かせます。弾き方が強くともショパンで違和感がないのは、華のある音色とロマン的表現があるからかもしれません。
前半が終わり、ファンの方でしょうか?若いお兄さんが身を乗り出して歓声を上げています。アイドル状態ですが(^^;;、沙良さんが爽やかで可愛いので、微笑ましくなります。
休憩を挟んで、後半はプログラムのメイン、リストの超絶技巧練習曲から「雪あらし」他4曲、そして「ラ・カンパネラ」です。大きな手で繰り出す凄まじい高難度の技と、強靱ながらも輝きのある美音。そして、瑞々しいロマンティシズム。作曲家と演奏者の個性がぴったり合い、その持ち味が遺憾なく発揮される幸福な時間でした。アンコールに弾かれた「ハンガリー狂詩曲 第2番」は、完全に演奏会のクライマックスの一部で、圧倒されました。
昨日は、コンサートを聴きに行くために会社を早々に抜け出したので、本来ならば正規のお休み日であるはずの今日、お勤めに出なければなりました。 相変わらずの自転車操業でトホホ・・・ せっかくのお休みなのに仕事に出るご褒美として、仕事の終わりがてらにErillを呼び出して、毎年行っているドイツ・クリスマスマーケットに行ってきました。
いつものことながら、ドイツビールを飲んで、グリューワインを飲んで、名前は忘れてしまいましたが、その場でスライスしたハムをパンに挟んで食べるご当地料理を食べて、暮れゆく今年の一時を楽しみました。今年一番の収穫は、特設ステージで演奏していた“ロックンタスケロール & ザ・キャプテンスウィング”に出会えたことでした。昔懐かしいロックンロールを聴かせてくれる6人組のユニットで、楽器も、ギターにアコーディオン、クラリネット、トランペット、ベースなどアコースティックな響きがとても心地よかったです。来年も楽しみにしています。
先月末の第九から、2週間たたぬ間の京都コンサートホール。今夕は、ドイツ人と日本人のハーフの若手ピアニスト、アリス=紗良・オットのリサイタルです。プログラムには、ベートーヴェンのソナタや、リストの超絶技巧練習曲など、全力疾走の曲が並びます。この手のピアノ曲が好きなTarlinも、会社を切り上げてErillと合流です。
赤いドレスに、さらさらの黒髪をなびかせ、颯爽と登場。絵に描いたような長身の美少女、まるでお人形さんのようです。事前にちらりと見た「徹子の部屋」で、さばさばした明るい人柄のように見受けましたが、歩く時の靴音が"カツカツ"と響くのは、ゲルマン的ざっくばらんさ?(^^;;;)
1曲目は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」。女性離れした勢いのある硬質なタッチに、荒削りながらもドイツ正当派の表現で引き込んでいきます。勢い余ってのミスタッチもありますが、溌剌とした演奏の証にも聞こえます(^^)。
刻まであり、作品数と幅広さに驚きました。庭園も見事でしたが、雨が降り出し、ゆっくり散策できないのが残念。
美術館を出ると、ちょうどお昼時。昨夜はチボリ園内でソーセージやピタパンのスタンド食巡りだったので、今日は瀬戸内の魚を食べようと、その名も「ままかり亭」に入り、ままかり定食を注文。刺身、寿司、焼き物。。。みりん干ししか知りませんでしたが、色んな食べ方が出来るんですね。柔らかくて癖がなく、飽きがこない味でした。
昼食後は、 美観地区からは少し歩いて、重要文化財の大橋家住宅へ。米と塩で財を成した大地主の邸宅で、しっくい壁に倉敷窓、倉敷格子の立派な町家です。米蔵の瓦張りの内壁も珍しく、ゆっくり過ごせました。
その後は、大原美術館まで戻り、喫茶店「エル・グレコ」で、ほっと一息。混んでいましたが、雰囲気がある空間で、
コペンハーゲン市民の憩いの場、チボリ公園。Erillもデンマークに居た頃、何度となく訪れた懐かしの場所です。デンマークにはなかなか行けないけど倉敷チボリなら、と思いつつその機会はずっとありませんでした(単にきっかけがなかった、とも)。その倉敷チボリ公園が経営難のため、今年いっぱいで閉園、というではありませんか。Tarlinに話すと、前に職場の行事で倉敷チボリに日帰りするも、一番綺麗な夜の時間帯を見ずに帰ってきたとか。それなら、閉園前にぜひ行こうという話になりました。クリスマスのライトアップも華やかなはず。Erillにとっては倉敷そのものがはじめて。それだけでも楽しみです。
美観地区を後にして、4時前には倉敷チボリへ入園。明るい昼間の姿と、夜間の姿と、両方を見るためです。デンマークの街並みを再現したオールドコペンハーゲン、本場チボリの佇まいそのままのようなオリエンタルな宮殿と水辺の風景、至る所に美しく配された花壇・・・コペンハーゲンの本園と同じ、愛らしくも品よく落ち着いた演出、懐かしい童話の世界です。春を先取りして植えられたビオラや桜草が、花盛りの頃には手入れする人もなく、どうなっているのかと、切なくなります。
川岸に並ぶ露天のアクセサリー屋さんを冷やかして歩いていると、窓に格子をはめ込んだ商家の前に、大きな屋根付きの看板が立っています。看板というより「立て札」と呼ぶのがふさわしい板面は、なんと黒板。チョークで白い文字がびっしり書き込まれています。内容は、「当面の相場の見通し」。昭和23年から続く証券会社だそうです。もちろん、今も商い中。意表を突かれて、思わずシャッターを切りました。
難曲続きで手の疲れも気遣われるのに、演奏後のサイン会では溌剌とした笑顔で元気いっぱいに一人一人に挨拶を返している沙良さん。私たちも「また聴きに来ますね♪」と伝えると、「はい!ありがとうございます」と、満面の笑顔を返してくれました。その清々しい姿に、自然と応援したくなります。これからの進化を聴き続けたくなるピアニストでした。
堀沿いの街並みを一巡し、アイビースクエアで冬枯れの蔦の風情を鑑賞後、倉敷の街を一望できるという鶴形山公園へ向かいました。石段を登り切ったところに阿智神社があります。しかし、神社の境内からは梢が邪魔して、かえって石段の途中からのほうが見通しが良く、絵になっていました。
倉敷での2日目。天気予報では、曇りから雨となっています。ホテルを出ると、灰色の曇り空。まだ雨の降らないうちに、もういちど美観地区を散策することにしました。午前の早い時間のため、人もまばらです。白壁は、空の色を映すのでしょうか。昨日の晴れ空の華やかな印象とはうってかわって、ひっそり落ち着いた佇まいでした。
掘り割り沿いを一巡して、大原美術館へ。エル・グレコ画「受胎告知」のような16世紀の宗教画から、印象派、現代絵画、近代日本の洋画、陶芸、はては中国の仏像、古代エジプト彫
夕闇が降りる頃、クリスマスツリーが点灯し、建物や庭が黄色を帯びた電球でライトアップされると、ノスタルジックな温もりに包まれます。ステージでショーが始まりました。赤いサンタの衣装を着たお姉さんとお兄さん数名が、息つく暇もないほどきびきびと達者に踊っています。全員チボリの職員というのが、驚きでした。オールドコペンハーゲンの広場に行くと、ソプラノの独唱が流れています。ミュージカルや映画のナンバーが、柔らかい声で歌われ、聴き入ってしまいました。
閉園間際、デンマークのお土産を買ってホテルに戻ると、部屋の窓からチボリの明かりが一つ、また一つ落ちていくのが見えます。遊具が売り払われた後に残る建物と庭園を、何かの形で生かせないのかと思うのも、気楽な旅行客だからでしょうか。最後に残った門のライトアップを、名残惜しく眺めていました。
高速バスで大阪を出発。岡山のインターチェンジを降りた頃から渋滞したため、途中の岡山駅でとっさにJRに乗り換えることに、予定より少し遅れて倉敷に到着。今宵の宿、駅直結のホテル倉敷に荷物を置いて、まずは倉敷の街並み散策です。美観地区に入ると、通りの中央を真っ直ぐに流れる川、その両岸をそよぐ柳、両脇の道を挟んで連なる漆喰の家並みの平行な直線が大きな遠近を成し、さながら端正な景観図のようです。すっきりと晴れた冬空に漆喰の白壁が明るく映え、灰色の屋根瓦が風景に重みを添えています。日本の伝統的な街が、こんなに晴れやかとは。これが倉敷特有の瀬戸内と近代の文化の融合なのでしょうか。それとも、江戸期の大阪船場や江戸の蔵屋敷も、このようだったのでしょうか。残っていないのが、実にもったいなく思えました。