曇り空から薄日の差す天気。梅雨が近いのを感じさせます。5月半ばまで遠くに白く神々しい姿を見せていた白山も、今は霞んでまったく見えません。恵みの雨を前に、水田の稲穂がすくすくと青く育っています。
 コシヒカリが開発された福井は、新潟の陰に隠れて今ひとつ陰が薄いですが、白山山系から水を集めた九頭竜(くずりゅう)川の豊かな水系に潤された米所。水も美味しく、福井市は、水道水のおいしい都市32市に選ばれています。京都でも福井産のお米を買ったことがありますが、福井で食べる方がふっくら美味しいのは、お米だけでなくそれを炊く水も美味しいからでしょう。
 水が美味しい所には、美味しい豆腐あり。絹ごし豆腐は「ふわふわ」と言っていいほど柔らかく、滑らか。特筆すべきは厚揚げで、木綿豆腐をまるごと揚げ、ごついまでに分厚い狐色の衣が何とも香ばしく、しっかりした歯ごたえで食べ応え満点です。厚揚げ、薄揚げを含む油揚げの年間消費量で、福井は全国一だとか。なるほど、これだけ美味しい揚げがあれば、ついつい買ってしまいます。
 絹ごし豆腐は織田町の「おたとうふ」、厚揚げは丸岡町の「竹田の厚揚げ」が目を引きますが、この他見かけるのが「大野」という地名を冠した商品。福井市から車で東に一時間ほど、九頭竜川が流れる盆地に位置する大野市は、豆腐類の他、米、蕎麦、野菜生産の一大中心地。スーパーの野菜売り場に、大野産の野菜コーナーが特設されているほどです。
 新鮮な野菜に美味しい豆腐、日本海の魚もおいしい越前。特に豆腐や厚揚げの美味しさは、住んでみないと分かりませんでした。海と山が近接し、水に恵まれた日本海側の食の豊かさを、つくづく実感します。
 

2005年6月5日(日) 水旨し越前

 上高地と安曇野の旅の余韻がさめやりません。今回は、上高地を一日ゆっくりハイキングしたり、乗鞍で北アルプスの眺望を楽しんだ、山の旅。海もいいですが、日本、本州の場合、青がもっとも映える夏の海辺は芋を洗うがごとき人出になってしまいます。それに比して、山は四季折々の美しさがあり、広さのある分人出があっても芋を洗う状態まではならず、少し視線をそらせば自然の静かな懐が広がってます。本州内でのんびりするなら、海より山がいいかも、と乗鞍から春の雪を抱いた穂高を眺めながら二人して思ってしまったのでした。
 風光明媚な上高地は何度でも来たくなる所で、私たちの場合、早春と秋の上高地を見たのですが、繰り返し来ると、さらなる楽しみを求めたくなるのが常。私たちも、いつか秋の始めに、赤く染まるナナカマドを見に初心者でも登れるという涸沢まで行ってみたくなりました。
 ことにもともと北方趣味のErill、山の風景と花々が好きで、学生時代は夏の旅行にひっかけては立山や大雪山の黒岳のような初心者向けの山に日帰り登山していたので、今回の山の旅でトレッキング熱がうずうず・・・ 鏡平やら白馬大雪渓やら、今の経験で歩けそうな場所の情報を見ては、ため息をついています。幸い、Tarlinもトレッキングシューズが欲しいなど、と言っているので、この機会に感化すべく、本屋で初心者向けの山歩きの本を買ってきて部屋に置いてみました。(パラリと眼を通しただけと思われる) 次の段階は、誕生日かクリスマスにはトレッキングシューズを贈って、それから綺麗な山の写真をいっぱい見せて・・・と頭の中で感化計画だけがいたずらに進行する始末。
 まずは自分の脚力を取り戻さねば、と買い物に行く時のピッチをやたら早めて歩いたり、荷物を全部背中にしょってみたり。う〜ん、もっとしっかり運動になるくらい歩かねば。長野や富山は、福井からだと関西から行くよりぐんと近いので、また行きたいところですが、この夏秋はTarlinが忙しいのでまず無理でしょう。すぐお隣の石川県に、白山という大変な名山があって(誘うように福井からも見える)、初心者でも登れるんだけどなあ・・・とりあえずは(といっても来年以降のいつか)、秋の涸沢を目指します。
 

2005年6月2日(木) 山の呼び声

 7日夕方から4週間ぶりに京都に帰ってきました。今回は金曜までの滞在です。Tarlinは大阪でお仕事、Erillは久しぶりに友達と京都で会うことにしました。
 四条河原町の待ち合わせ場所に現れた友達は、元気に半袖のTシャツを来ています。おお、早くも半袖!?と驚いて、よくよく周りを見るとほとんどの人が半袖。対するErillは長袖の薄手のカーディガン・アンサンブル・・・。福井では長袖の薄物一枚でちょうどよいのに、京都で同じ服装をすると確かに蒸し暑く感じます。北陸は関西より気温が低いことを実感ました。
 祇園でイタリアンのリーズナブルな店を見つけてランチを食べ、しばしおしゃべりに興じます。2月に結婚したばかりの友達、ほんわかほのぼのと幸せそうです。食事の後、昔ながらの茶屋が並ぶ花見小路を覗いて、東山を散歩しました。八坂神社から円山公園を抜け、初夏の緑がまぶしい楓の立ちこめる山沿いの道を通って、知恩院から青蓮院の前に出ました。6月の昼下がり、修学旅行生も少なく、ひっそりしています。(単にマイナー目の所を通っただけかもしれません)
 暑さに喉が渇いたので、祇園界隈に戻り、有名な都路里(つじり))に入ることにしました。通りすがりで抹茶ソフトは何度か食べたことがありますが、茶寮に入るのは初めてです。二階の入り口から階段下の通りまで行列が出来ていますが、結構回転はよく、5分くらいで順番が回ってきました。せっかく並んだのだし、ここはやはり少々高くとも(1000円弱)名物のパフェに挑戦せねば、茶々パフェなるを頼みました。抹茶ゼリーと抹茶アイスのまろやかな抹茶風味に、白玉のもちもち感、小豆のさらりとした甘味、そしてヴァニラアイスのクリーミーさが絶妙です。美味しいパフェと友達との楽しいおしゃべりに、お腹も気分も満たされて、京都の茶話会はお開きとなったのでした。

 京都の家の近所に新しく蕎麦屋さんが出来ました。「美山窯」というお店で、「韃靼蕎麦」の旗と窯元のような名が興味を引きます。免許証書き換えのため本日急遽お休みをとったTarlinもいっしょに、Tarlin母様のおごりで(これが重要?)、お昼に食べに行くことにしました。
 お店に入ると、手焼きの創作陶器の並んだ棚があり、壁には洒落たドライフラワーがかかっています。席のすぐ横に店のコンセプトの張り紙があり、それによると、京都の北、茅葺き屋根の里の美山町でとれる韃靼蕎麦を使った蕎麦粉10割手打ち蕎麦で、一日40〜50食で終了、陶器やドライフラワーも美山で作ったもののようです。本物にこだわる、自然派のお店です。
 出てきたお蕎麦は見るからにしっかりした濃い色で、箸でつまむと堅くて弾力があります。欲張って一度に麺を多めにつまんでしまうと、つゆに浸けるのに一苦労するほど。食べると、普通の蕎麦よりも風味が高く、香ばしくしこしこしています。美味しい、いいお蕎麦です。韃靼蕎麦は、血液をサラサラにする効果のある成分ルチンを通常の蕎麦の100倍含んでいるそうです。味も効能も強力なんですね。
 デザートメニューに蕎麦クレープと蕎麦ケーキがあったので、蕎麦クレープのほうを注文してみました。生地の蕎麦が香ばしく、さらし餡もあっさりした甘さで、とても食べやすい味。コーヒー党のTarlinはアイスコーヒーを頼みましたtが、コーヒーは全て水出しというこだわり。ふと奥の壁を見ると、水出し専用の大きなドリッパーが置いてあります。Tarlinいわく、嫌な苦みのない、豊かなこくのある味わいだそうです。
 また、湯飲み、お蕎麦やクレープの皿、アイスコーヒーのカップ、どの器も温かな風合いに、落ち着いたいいデザイン。展示販売しているのと同じ美山窯でしょう。お店で出た韃靼蕎麦茶も大変香ばしく、販売していたので、思わず買ってしまいました。明日からはまた福井。福井の美味しい水で入れるのが楽しみです。
 帰宅後インターネットで見たところ、元々は美山町にあるお店で、美山町で「美山窯」の工房名で創作されておられる陶芸家の方がギャラリー併設で営んでいる蕎麦屋さんのようでした。近所に出来た本物嗜好のいいお店、機会があればまた行きたいと思います。

2005年6月10日(金) 韃靼蕎麦

2005年6月8日(水) 東山散策と都路里

2005年6月11日(土) 今庄蕎麦と「平成の洛中洛外」

 京都から福井に帰ってきました。近畿に梅雨入り宣言の出た本日、京都は雨でしたが、滋賀から福井に入ると雨は降っておらず、曇り空。梅雨入りもまだ。まだしばらく気持ちよく外を歩けそうです。
 途中、お昼に今庄蕎麦を食べることにしました。今庄は、滋賀県と福井県の県境を越えて、南越前町に入ってほどない所にあります。インターネットで見つけたJAのお店「ほっと今庄 おばちゃんの店」に入り、越前蕎麦の代表的な食べ方「おろしそば」を頼みました。小さめのお皿に、大根おろしとネギ、鰹のたっぷりかかったお蕎麦が盛られています。量は、普通のどんぶりの半分から3分の2くらいでしょうか。大盛りすればよかったかも、と思いつつ、味わってみました。美味しいお蕎麦は蕎麦の実の食感を思わせるような香ばしい歯触りがありますが、このお蕎麦もそうで、それでいて適度に柔らかく、ちゅるちゅる滑らかな喉越し。素材を大事にし、丁寧に打ったお蕎麦の美味しさです。昨日、今日とたまたま二日続けて、個性の違うお蕎麦に出会えました。
 食べ足りなかったこともあり(追加を頼めばよかったのですが)、併設の売店で「そばの華」というお菓子を買ってみました。お蕎麦を油で揚げただけのお菓子ですが、香ばしい素朴な味が癖になる感じで、車の中であっという間になくなってしまいました。
 福井市内の家に戻る前に、福井市美術館に向かいました。『平成の洛中洛外−平山郁夫』展を見るためです。金閣・銀閣を始め、祇園祭、北山、高雄三山などの京都の名所が、画伯独特の濃密な色彩と重厚な筆致で描かれています。行ったことのある場所があれば、「あ、ここ、ここ!」という感じで、楽しく見られます。圧巻は、展覧会の名称にもなっている『平成の洛中洛外図』。二枚一対の大画面の俯瞰図で、左双に二条城、右双に京都御所を配し、現代のコンクリートの建物も描き込まれ、京の平安から平成に至る時の流れが表現されています。ピンと張りつめた線が生きたスケッチも面白く、いい展覧会でした。Erillの個人的趣味としては、平山画伯の濃厚かつ華やかな色彩は、京都よりも画伯の故郷である瀬戸内のしまなみ海道の風景により合うように思いました。
 美術館は黒川紀章の設計で、ガラス張りの綺麗な明るい建物。展覧会の最終の土日とあって、人出もそこそこ。北陸はどの県も文化水準の高いと言われていますが、福井もまたその例に漏れないようでした。

2005年6月14日(火) 生活のリズム

 今日も福井は梅雨入り前の最後の晴れ空?が覗いています。Tarlinは5月からずっと夜勤だったのですが、今週から昼勤の生活に戻り、おかげでErillも生活時間の配分がしやすいです。
 京都では大阪の職場まで片道1時間半はかかるTarlin、朝食夕食ともろくに摂れない生活ですが、福井では職住近接、職場まで歩いて15分なので、朝ご飯はしっかり、夕食も残業があってもきちんと摂れ、一日三食の生活が出来ます。
 Tarlinがお仕事中、Erillは家で家内仕事と魔法使い修行なのですが、一人暮らしの時はたらたらとリズムが狂いがちだったErill、Tarlinの生活とリンクするおかげで少なくとも朝昼晩のリズムを保っています。なかなかの快適生活・・・なのですが、5月に4週間連続で休みが一日もなかったTarlin、仕事をしているTarlin本人はともかく、Erillもなぜかストレスがたまっていました。どうも一週間のリズムがなくなったせいのようです。
 家での労務、いくらマイペースでできるとはいえ、毎日淡々と同じ事が続くと気詰まりになってくるのでしょうか。Tarlinが休みであれば、特に出かけずとも、家に平日はいないTarlinがいるだけで、少し生活の時間が変わったり、しゃべったり、普段の生活と様子が変わり、変化がつくのですが、その変化がないと、どうも日々の生活疲れが発散されず、単調さに疲れて来るようです。
 幸い、5月下旬からこちら旅行や日帰りのおでかけが出来たおかげで、ストレスがありません。日単位であれ、週単位であれ、月単位であれ、生活におけるリズムの大切さを思うこの頃です。

2005年6月17日(金) 九州の夕べ

 Tarlinが夕食に職場の同僚を連れてきました。福井で美味しいものはコシヒカリと海産物、その両方が味わえる手軽なご馳走といえば、手巻き寿司。準備も手間いらずだし、ショッピングセンターの海産物店で魚介を買い込み、すし飯を合わせ魚介を食べやすく切り、30分ほどで準備完了です。
 6時半頃、Tarlinが同僚のニショカ君(仮名)を連れて帰ってきました。ニショカ君は、宮崎県出身の九州男児。とってもまじめな方で、始めは言葉もぽつ、ぽつ、という感じでしたが、お酒が入り、故郷九州の話題になったとたん、突如話がはずんできました。「近い将来、九州を旅行してみたいんですが」と言うと、「そうですね、それならまず、福岡を見て、長崎、熊本阿蘇、九重連山、黒川温泉、高千穂狭、日南海岸と廻って、あ、天草もいいですよ〜。」 う〜ん、これを全部いっぺんに廻るといったい何日かかるのでしょう!?「大丈夫です、9日もあれば一周出来ますよ。」 そうですかあ、確かにこれだけ大規模に国内をまわるのも楽しいでしょう。「ニショカ君がその間僕の仕事を全部してくれたら,、行くよ」と、Tarlin。もっとも、いや何ということを言うのでしょう。
 食事のお伴はビールでしたが、その後は焼酎。25℃の焼酎をロックでくいと飲めるのも、宮崎の遺伝子でしょうか。「酒が人生の友」のTarlinも、この真似は出来ないようで「凄い!」と賛嘆の眼差しを向けていました。
 福井で語る九州の夕べ(?)、九州への旅心誘われた一時でした。

2005年6月19日(日) 頼もしいぞ Erill

 木曜日から昨日の土曜日にかけて、前述のニショカ君(仮名)と埃まみれになりながら作業現場の大掃除と模様替えに明け暮れて、少しばかり身体にガタが来ていたTarlin。 お仕事は堆く積もっているのですが、このままでは社会的不適応者になりかねないため、今日はお休みをとりました。 まぁ身体にガタが来ているのならばゆっくりと静養をとればよいようなものですが、そこは根っからの遊び人なので、梅雨にもかかわらずせっかく晴れていることだし、どこかに行きませうということになりました。(Erill もはしゃいでいることだし) そこで、目をつけたのが、「越前大野」 何故? それは、話すと長くなるのですが、Tarlin は実は「名水オタク」なのです。 今まで制覇した名水100選は12箇所。そしてその貴重な1箇所があるのが越前大野なのです。 以前の日記で Erill も書きましたが福井は本当に水の美味しいところで、小さな県ながら名水100選に選ばれている名水場が3箇所もあり、その他 小さな名水場は色々なところにあります。 水の美味しいところに引かれる、まるで蛍のような Tarlinですな。(もっとも、身体はゾウに近いですが・・・) 

 400年の歴史をもつ朝市に間に合わせるべく、6時20分頃お家を出て、最寄りの越前花堂駅から越美北線(九頭竜線)に乗りました。本来であれば越前大野まで直通で行けるのですが、昨年の福井豪雨のために鉄橋が落ちたりして途中一部バス代行運転で1時間弱をかけて到着しました。列車は一両編成のディーゼルカーで田園風景の中をのんびりと走ります。ここでは、時間に追われたり回復運転とは無縁です。
 さて、到着すると真っ先に向かったのは七間朝市です。決して大規模ではありませんが、地元に密着した朝市でとてもいい感じです。主婦 Erill は流石ですな。あれが安いのどうのこうのと物色を始め、Get したのは、大きなキュウリ4本100円。本当は3本で100円なのですがおまけしてもらったようです。3本100円でも十分に安いと思うのですが、うーん女性恐るべし(左図 交渉の図)
 その後も、にんにくや醤油・味噌・けんけらなどを買ったのですが、ここで思いがけないErill を発見することができました。 いつもであれば、少し重めの荷物があると「重いん」とうるうるとした眼差しで Tarlin を見つめるのですが、(だいたい その 重いん の 「ん」 は何なのじゃ) 今回は、何も言わずに自らのリュックに入れているのです。そして、その後、山城である大野城に登ったのですが、スタスタと登って行くのです。いつもであれば、(またか!)途中で、「疲れたん」(だから、その 「ん」は止めんかっ!!)と言い出そうものが、一向に苦にしていないようなのです。 あまりにも頼もしく変身した Erill。 一体何が彼女を突き動かしているのか? なんでも、5月に上高地・乗鞍と旅行して、「いつかは自分の足で登る!」と堅い決意をしたそうで、このところ毎日、わざわざリュックに重い荷物を入れて散歩しているそうなのです。そういえば、なにかしら「山歩きの本」などという怪しい本が転がっていたので、「一時の流行病い」と思っていたのですが、伊達ではなかったようです。まぁ、何はともあれ、たくましく成長したことは喜ばしいことです。
 前置きが長くなってしまいましたが、(前置きだったんか って感じですが・・・) 本日のメインイベントは「名水」でした。「御清水」(「おしょうず」と読みます)という水場で、街の人の生活に密着した水場でした。水は、ほんのりと甘味があるのですが、すぐにその余韻が消えていくあっさりとしたそして潔い飲み心地です。町歩きで喉が渇いていた私たちにはまさしく慈水でした。越前大野は、ここだけではなく、至る所で水がわき上がっているそうで、どこにいっても清々しい水の流れがあります。さて、
美味しいお水・・・ そうです、 美味しい水とくれば、そこにあるのは お・い・し・い・お・酒、小さな町なのですが、造り酒屋が4軒もあり、技を競っているのです。朝市が立つ七間通りにある南部酒造(意味があるのかどうかは分かりませんが、酒好きには「南部」という言葉を聞くだけで「南部杜氏」を思い出し何となく美味しそうと思えてしまいます)で「花垣 大吟醸」を買いました。 試飲させて頂いたのですが、最初は果実酒かと思えるようなフルーティな飲み口なのですが、次第にお酒の力強さが沸き上がってきたかと思うと、また潔く消えていき爽やかな喉越となります。まさに、御清水で飲んだ水と同じです。これは、酒好き一家の姉上宅にも一本進呈せねばならないということで、大枚をはたいて2本も買ってしまいました。
 他にも色々とご紹介したいことはあるのですが、長くなってしまいましたので、この辺でおしまいとさせて頂きとうございます。

2005年6月24日(金) 足羽山の紫陽花

 足羽山に紫陽花を見に行ってきました。福井の町中で小高い緑をなす足羽山は、梅雨になると1万4000株の紫陽花が咲き誇る、紫陽花の名所。夜にはライトアップされます。紫陽花好きのErill、ぜひ一度行ってみたいと思い、ここはやはり二人で、とTarlinを誘いましたが、「嫌じゃ」の一言。「何で?」と問えば、「蛙がいるから」・・・そう、Tarlinは蛙が嫌いなのです。もっと言うと、蛙を始め、表面のヌメヌメした全てのは虫類・両生類が嫌いなのです。「いないって.。」「いる!紫陽花というだけで、居そうじゃ!」・・・埒があかないので、Tarlinが大阪一泊出張中の折りに、一人で行くことにしました。

 前回は市電で行きましたが、最近、家から歩いて15分の所に上り口を発見、今回はそちらから行ってみました。人気のない緩やかな坂道をのぼって10分弱、足羽山の市立動物園に出ました。前回休園で入れなかったし、入場無料なので、入ってみることにしました。小さな敷地ですが、山羊や馬、兎、日本猿、水鳥、赤や緑、蒼の色鮮やかで立派な鸚鵡やインコが5種類以上、ジャコウ猫やカンガルーまでいます。これだけの動物を無料公開するとは、福井市はなかなか太っ腹、豊かな文化行政です
 動物園も青や紫の紫陽花が綺麗でしたが、一番紫陽花が

多いのは、「あじさいロード」と呼ばれる坂道。自然史博物館の下辺りから、道の両側に紫陽花の垣根が続きます。梅雨入りがまだで雨が降らないため、花はいくぶん小振りですが、青やピンクの華やかな紫陽花、清楚な萼紫陽花、色とりどりに咲き誇っていました。
 帰りも徒歩で、途中買い物をしながら家まで戻り、気温30℃の中、歩行時間3時間。流石に疲れました

が、それでもバテないのは、毎日1時間ウォーキングの成果?

2005年6月29日(水) 雨の日は『百名山』

 27日、福井もやっと梅雨入りしました。史上3番目に遅い梅雨入りだとか。昨日雨が降り始め、今日の午前中まで大雨洪水警報も出ていましたが、それほど強い雨ではなく、梅雨らしいしとしと雨です。
 それにしても、ひどい異常気象。Erill両親宅のある四国徳島は、例年なら多雨のはずが、今年は空梅雨で工業用水と農業用水の取水制限が実施され、田植えが出来てない家すらあるとか・・・ Erill両親宅の前には、那賀川という徳島で二番目に大きな川が流れていて、普段なら水を滔々と湛えているはずの那賀川が水が歩いて渡れるような浅く狭い流れになってしまい、川底の石が露呈し、南岸の樹木は枯れかけているとか・・・想像も出来ない事態に悲しくなります。かと思えば、新潟の震災被災地は大雨。その雨を水不足の地域へ回せないものかと思いますが、自然は厳しいものです。これ以上、被害が進みませんよう。
 最近Erillの日課となったウォーキングも雨の日は出来ないし、それならいっそ脳内ウォーキング・・・を飛び越えて、空想登山・・・というわけではありませんが、深田久弥の『日本百名山』を読んでいます。百山全登頂を目指す登山者で山が混雑するという、いわゆる「百名山ブーム」の引き金となったこの本、北は利尻島から南は屋久島まで、各地の名峰が、著者の印象、地理、歴史や文化を織り交ぜてコンパクトに紹介されていて、旅心を誘われます。時に山名の語源や、山岳信仰や民俗まで踏み込み、著者の山への愛情と日本文化に息づく山岳文化への見識が伺え、登山対象としての山を超え、風土および文化としての山を捉えた優れた紀行文学になっています。読んで損のない名文でしょう。
 ついでに、時代を感じさせる楽しい記述もあります。以下は、北海道の「羅臼岳」からの一節。「羅臼村は知床半島唯一の都会で・・・(中略)・・・映画館やパーマネント屋、バーまであった。(中略) すぐ前の海には今はソヴェトのものとなった国後島が大きく横たわっている。」 パーマネント屋、ソヴェト・・・パーマ屋でも、ソビエトやソヴィエトでもなく・・・ 今はロシアと呼ばれている北方の隣国の呼称が、「ソビエト」「ソヴィエト」にまだ定まっていなかった頃とは、1950年台でしょうか。日本旅行だけでなく、時間旅行もできる、味わい深い『日本百名山』です。