2004年5月
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2004年7月1日(木) 光陰矢のごとし

 7月になりました。一月からそう時間が経ったような気がしないのに、もう一年の折り返し地点。あっという間に時が過ぎていきます。
 Erillが家内にて修行の身となってから、4ヶ月目に突入しました。勤めを終える前は、あれこれやりたいことを頭の中でめぐらしておりましたが、いざ自由の身になってみると、一点集中型の性格のせいか、なかなか思うほどに物事ははかどっていません。ふむむ・・・
 最初は、一日をいくつかの時間帯に分割して、やることを割り当てようと試みました。が、何せ一つのことをやり始めると、そればかりやってしまう性格。試みは、あっという間に挫折しました。とりあえず、一週間単位でやりたいことを大まかに設定して、状況に応じて、「今日はホームページ」とか「今日は○○の勉強」とか、その日にすることを決めるようにしていますが、なかなか有効に時間を使うのは難しいものですね。

  今日は土曜日。先週は徹夜残業明けとなって、昼ごろ家に戻ってきたTarlinですが、今週は通常の土日を取り戻し、無事に家で二日とも過ごせる週末となりました。午後からは毎週恒例の買い物で、二人で電気店と薬局、スーパーマーケットをはしごです。
 電気店には、電球と、ホームページのデータをバックアップするためのDVD+RWを買いに行ったのですが、そこは技術屋Tarlinの性、パソコンと周辺機器のコーナーをじっくり-くまなく三十分以上かけて徘徊し、最後にDVD+ROMやCD-ROMのコーナーに寄って、DVD+RWを一つ一つ吟味しています。
 Erillも電気店に限らず、お店に行けば、面白く見回ってしまうほうですが、さすがに十五分もDVD+ROMのコーナーにいる忍耐力はなく、ふらふらと近くの他の製品を見に行ってしまいました。
 情報機器のコーナーのあとは、家電コーナーに移って、またふらふらと徘徊していましたが、今度は、Erillが気になるものを見つけました。ナショナルの生ごみ処理機です。家の中に置けるタイプで、温風乾燥で1時間45分で処理でき、乾燥後は燃えるごみにも出せるし、有機肥料に使えるというもの。環境にもいいし、使い勝手もよさそうです。Tarlinも、住んでいる自治体から2万円までの補助が出るというので、それならいいかもと思ったようです。
 こうして、帰って来てからインターネットでカタログを見つつ、日記に書いていると、Tarlinが一言。「そんなに欲しいなら、今度の誕生日プレゼントに買ってあげるよ、生ごみ処理機。」そんな、それはいくらなんでもないでしょう、というもの。電気製品ならせめて電子辞書にしてよ、と希望を思うErillでありました。

2004年7月3日(土) 電気屋さんで

 今日は火曜日。Erillは、またまた研究会でお世話になっている大学の先生のところに行くため、奈良公園を通り抜けました。時間は、午後2時。じりじりと照り付ける日の光は、うっそうと茂る木々の木陰にさえぎられているものの、夏の晴れた昼下がりの、じーっと重い暑気で満ちています。日本の夏らしさを感じる暑さです。Erill、あまり汗をかかない体質のせいもあり、このくらいの暑気はかえって心地よく、発汗も体に爽やかに感じます。
 6月までは公園をにぎわしていた修学旅行生も、シーズンが過ぎたのか、今日は姿が見えません。絵画サークルの写生会でしょうか、時折、木陰に座り込んで、スケッチをしている人々がいますが、散歩している人はまばらで、実に静かです。少し前まで、どこでも必ず歩いている人をまとまって見かけたのに。鹿も、暑さでおとなしくなっているようです。
 春の花や新緑、秋の紅葉に彩られた奈良公園も華やかですが、蝉が鳴き出すまでの間しか味わえない、このじーっと染み入るような静けさもいいものです。七月初めの昼下がり、奈良の盛夏の始まりの風情を感じた一時でした。

2004年7月6日(火) 昼下がりの奈良にて

 今日は七夕。一日中良い天気で、夜になった今、星空が拡がっています。天の川の畔で、織女と牽牛も一年に一度の出会いを果たせたことでしょう。
 さて、6月29日の日記で、挑戦中と書いたマジックリスニング、先週の金曜日に12日間の訓練を終えました。果たして効果は・・・?毎日聞いているNHKの英会話番組では、どれだけ変化があったのかよく分からなかったので、土曜日、同じくNHKのラジオのドイツ語講座応用編を聞いてみました。ラジオの語学番組を聞くときは、まずテキストの本文は見ないようにして、新出語句の欄だけを見ながら聞くようにしています。数年のブランクのせいで、4月に一度聞いたときは、耳がなかなかついていかず、音だけがただ流れていく・・・という悲しい状態でした。それが、今回聞くと、あ、分かる、分かる。ブランクで衰える前の、もとの聞き取りの力が戻ってきたようでした。う〜ん、効果ってちゃんと出るものなんですね〜。
 聴き取れた、わいわい、と喜んでいたら、Tarlinがすかさず、「それで、いくら払ってくれるの?」と突っ込んで来ます。そうなのでした。もともとTarlinが独身時代に買ったまま使わずに置いてあったのを、Erillがもったいないとばかりに手を出したこの教材セット、効果に応じてTarlinにお金を払う、という話になっていたのでした。「え、何?何だったけ?」即座に知らん振りをするErill。払わなかったら払わなかったで、「一生恩義を感じるべし」となって、「ただより高いものはない」という結果になりそうです。う〜ん、ここは日本語が聞こえないふりをするしかない!?

2004年7月7日(水) マジック・リスニングその後

 NHK大河ドラマ「新選組!」が面白い。魅力は、なんと言っても三谷幸喜さんの脚本。私たちの新選組の前知識は、浅田次郎の「壬生義士伝」を映画とドラマを見た(浅田次郎ファンのTarlinは原作小説も読了)程度でしたが、もともと幕末・維新には興味があり、今回のドラマ、始まる前から「あの配役で、大丈夫かな〜。」などと話していました。が、一度見始めると、そんな心配はどこへやら。三谷脚本ならではの、巧みな人間描写とおもしろい展開に、すっかりはまってしまいました。毎週日曜日夜は、TarlinもErillもテレビにかじりついて、ドラマに見入り、それだけでは飽きたらず、土曜日昼の再放送もかかさず見ています。
 新選組のイメージというと、佐幕派の、「斬った張った」の粛正集団。時代の流れに逆らって行き着く所まで行き着いてしまった、過激で冷酷なるも悲劇の集団、といったところでしょうか.。これまでの小説や映像で、すでに固定イメージが出来上がってる主要人物も多いのですが、このドラマでは、一人一人の人物が深く掘り下げられ、「どの人物の行動にも、そうならざるを得ない内なる理由があったんだ」と納得のいく、新鮮な人物解釈がなされています。新選組が佐幕派として歴史上果たした役割に疑問を持つErillも、個性的な人々が織りなす群像に、自然に惹き付けられてしまいます。
 そして、三谷幸喜さんの深い人間洞察に息を吹き込むのが、俳優さん達の演技です。新選組の主要メンバーをを固めるフレッシュな俳優さんの熱演ぶりに、見ている方もついつい気合いが入り、「これからみんなどんどんいい俳優さんになっていくんだろうなあ」と、先が楽しくなります。ベテラン勢では、もう出演は終わってしまいましたが、佐藤浩市の芹沢鴨は、破滅型の人間の翳りと凄みがずしりと重い、本当に名演でした。(新選組の映像作品の歴史に、きっと記憶されるのでしょう。)三谷幸喜さんというのは、俳優の個性を生かして、脚本を書く人なんですね。
 ここで、気になる人々についての、私達の感想を少し紹介してみます。

近藤勇(香取慎吾)
 新選組のトップ、局長。TarlinとErillが一番不安を感じた配役でした。多摩時代の近藤勇は、とてもフレッシュで、爽やかでした。香取君の伸びやかな個性が、よく生かされた脚本でした。しかし、途中は苦しかった。その人物で周囲を惹き付け、自然に人がついてくる設定なのに、どうも度量が足りない。こんな無垢な人に、これだけの暗躍組織の長が勤まったのか、という無理を感じさせました。少しずつ上手くなってはいましたが、役についていけていない印象がぬぐえなかった。が、昨日の放送の局長は良かった。凄みも貫禄も懐の大きさも、十分に出ていました。最初は裏返っていた声も、今は完全に落ち着いた、腹の底から出る声。次週の池田屋事件では、局長らしい迫力の第一声が聞けるかどうか。期待してます。

土方歳三(山本耕司)
 大熱演です。恐ろしいまでの気迫です。でも、今のところ一番心情が描かれ足らないような気がします。新選組に詳しく、関連本を何冊も読んで、土方をよく理解している人は脳内補完が出来るようで、イメージ通りと評判ですが、知識の浅いTarlinとErillには、怜悧な策士の面だけが強調されているように見えます。私達の周囲の、あまり新選組を知らない人も、同じ印象を受けているようです。(歳さんファンの方、すみません。)
 腹心の友のため、あえて汚れ役を引き受けた人物の苦渋の想いを見せる場面が、もう少しあってもいいような・・・そうすれば、土方という人間の器量と奥行きが、もっと感じられると思うのですが。どうやら、これから先に、土方の心情が一気に描き出される場面があるようです。こちらも期待。

山南敬介(堺雅人)
 土方とならぶ、新選組のNo.2。学があり、聡明かつ冷静。新選組の中で一番時代の流れが見えていた人、かつ大局で物事を判断し、構想できた人。剣士と言うよりも、先見性のある思索派。初めの頃は、何ともいえないにやついた顔にどうも抵抗あったのですが、彼の知性と穏和で優しい性格が明らかになってきた時点で、Erillにとって一番好きな人物になりました。佐幕派よりは、時代を進めた人々の側に傾いてしまいがちなErillのような輩であっても、自分が興味を持てる人物が大抵一人や二人は見つかる、これも新選組モノの魅力なのでしょう。
 堺雅人さんの演技も知性的な雰囲気がにじみ出ていて、立ち居振る舞いも、足先や手の先までピンと真っ直ぐに筋が通ったようで、繊細で端正です。だけど、だけど、彼には悲しい最期が・・・(Erill、取り乱す。)今からでも遅くはない、新選組から離れて、本来の志の通りに尊皇攘夷の道を歩めば・・・と思ってしまいます。でも、混沌たる幕末、一寸先は闇の時代。どの流れに与しても、いつ何時でも命を落とし兼ねない時代。くう・・・(完全に取り乱してます。大変失礼致しました。)

 その他、オダギリジョーの芸術的なまでにニヒルな斉藤一、山本太郎の破天荒な原田佐之助、中村勘太郎の初々しい藤堂平助、藤原竜也の悩める思春期(?)の沖田総司、江口洋介の天衣無縫な坂本竜馬など、歴史物としては少し型破りな魅力的なキャラクターに、枚挙にいとまがありません。この辺りで自粛しておきます。史実では、これからますます殺伐としていく新選組が、三谷マジックでどのように描かれるのか、目が離せません。

2004年7月11日(日曜日) 新選組!

2004年7月12日(月) 突然変異

 我が家の庭には、花壇のほかに、鉢植えの花を何個か並べてあります。その中の一鉢に、ブリエッタという、ペチュニアの改良種を植えています。小ぶりのやわらかいピンクの花が、鉢いっぱいに広がるように咲き、優しい雰囲気です。普段は家の中にいるErillですが、一日に何回か庭先に出ては、花殻を摘んでいます。こうすると、花つきがよくなるのだそうです。さて、今日も花殻を摘んでいて、やわらかいピンクの花に混じって、一輪だけ鮮やかなショッキングピンクの花が開きかけているのに気付きました。一瞬、え?と思いましたが、変化があって面白いと言えば面白いものです。
 そういえば、以前、花壇のベゴニアにも、もともとピンクの株なのに、白地に赤い縁取りの花が一枝だけ混じっていたことがありました。
 Tarlinいわく、園芸向けの花は、もともと品種改良を重ねていびつな作り方をされているので、こういうのは多いのではないか、と。うーん、人間の業が作った、突然変異。同じ株に一輪だけ目立つ色があるのは、色によっては不似合いな感じもしますが、たいていは変化があって、楽しく見てしまうのでした。

 梅雨があけました。今年は空梅雨だったので、少し前からもう真夏のようでしたが、これで安心して外出計画が立てられます(笑)。
 衛星映画劇場で「ショコラ」を見ました。伝統に囚われたフランスの小さな田舎町に、流れ者の母と娘が現れて、チョコレート屋を開きます。この店のチョコレートは、実は不思議な力のある妙薬。食べた人の心を溶かし、自由を吹き込みます。既成の考えに囚われない母親の生き方を警戒し、最初は店に近づこうとしなかった町の住人も、チョコレートを食べることで、一人、二人と彼女を受け入れ、ついには、頑迷な市長さんの心も溶かし、母子も、町の人もみんなが幸せになるというお話。タイトルのチョコレートのように、人の世の苦みも甘みも入った、大人の童話です。
 Erill、こういうこじんまりとしながらも、人生の酸いも甘いも噛み分け、最後にはハッピーエンドになる物語は、とても好きです。この手のお話は、ハッピーエンドだからこそ、最後にほろりとなるのですね。
 監督は、ラッセ・ハルストレム。スウェーデンの田園を舞台に、ちょっぴりみそっかすな子供の心情を描いた「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」や、リンドグレーンの児童文学が原作の「やかまし村」シリーズもよかったなあ。特に「やかまし村」は、田舎の子供の生活を、四季を通じて無邪気に描いたものですが、ひたすらたわいないからこそ、何度でも見たくなる映画でした。
 今夜は、幸せな気分で、いい夢を見ながら眠れそうです。

2004年7月14日(水) ショコラ

 暑い日が続いています。Tarlinは、昨日から出張。Erillは、英検やら、聴講させてもらっていた講義やらが終わって、少しのんびりモードです。
 衛星映画劇場、今日は「春香伝」でした。李氏朝鮮時代の、古典作品の映画化です。内容は、両班(李朝の貴族階級)の青年と、妓生を母に持ちながら、気高い心を持つ娘、春香の恋物語。「風の丘を越えて」で有名になった伝統芸能パンソリの国唱人間文化財、チョ・サンヒョンの謳いにのせて、物語が展開するという趣向です。ちょうど文楽を見ているような雰囲気で、物語もさることながら、パンソリ歌唱の迫力に圧倒されます。
 17、8世紀の李朝の衣装や家屋、宮廷音楽や舞踊の様子が面白い。李氏朝鮮って、科挙制度をとっていたのですね。この映画からかいま見る限り、中国の歴代王朝の統治体制をふまえているようです。恥ずかしながら、知りませんでした。
 映画を観て、強く感じたのは、春香が、民衆に強く愛されてきた存在であるということ。搾取を重ね横暴を極める地方長官からそば仕えを命じられ、「二夫にまみえず」と拒否したが為に、拷問にかけらてもなお屈せず、強靱な意志と誇りで長官に立ち向かい、激しい抗議の言葉を投げつける春香の姿は、庶民の心を代弁する英雄そのもの。最後に、悪徳長官が、科挙に合格しお忍びで各地を回り諸悪を取り締まる官吏となった春香の夫に成敗される勧善懲悪のストーリーも、庶民の思いの丈が一気にかなったような痛快さ。
 歌も物語も、それを生み、紡ぎ出してきたのは、搾取されながらも決して何者にも屈しない民衆の心であるという強い叫びが、パンソリの歌声に、そして、主人公春香の命を賭した叫びとなって、響き渡ってくるようでした。朝鮮と韓国の人々の、魂の叫びを見たような、鮮烈な映画でした。

2004年7月16日(金) 春香伝

 今日は、Tarlinにとって毎年恒例の日本海でのサザエ採りです。例年なら解禁日に行くのですが、今年の解禁日の15日は、Tarlinは出張中。日を改めて、本日ということになりました。
 午前3時に家を出て、福井県は大飯町の漁師町大島に朝7時に到着。現地で、Tarlinの会社の上司のご一家の方々と落ち合って、民宿の船で大島半島のポイントまで移動します。陸からはアクセス出来ない小さな砂浜で船を下ろされた後、Tarlinは、早速、岩場伝いに沖のサザエが居るポイントへ泳いで行きました。
 Tarlinが沖で漁(?)にいそしんでいる間、基本的にカナヅチのErillは浅瀬でぱしゃぱしゃシュノーケリングのお稽古です。岩場沿いなら、それなりに魚は居ると聞いていたのですが、魚影はまばら。それでも、体長10cmにも満たない、小さな魚(幼魚?)が、何種類か泳いでいました。河豚(クサフグ?)や、オコゼのような魚、黒い小さな魚の群れ、砂底で死んだようにじっとしている魚、石と石の間に、小さな蛸も居ます。驚いたのは、熱帯魚と見まがうばかりの、ポスターカラーの原色のような黄色と黒の格子の魚や、 スズメダイのような白黒のシマシマの魚がいたこと。魚の名前にも生態に明るくないので、いかな種類の魚が、いかな事情でいるのか、実に不思議に思ってしまいます。Tarlinに聞いても、家に帰ってからネットで調べても分からないままです。う〜ん。
 不思議に思いながら泳いでいると、何やら身体がチクチクします。「???」と思っていると、目の前を、スズメダイに似た白黒の魚が、すーっと横切っていくではありませんか。このお魚、ずいぶんと人なつこいようで、3匹連れだって、ずっとErillの身体をつついています。10mくらい泳いでも、コバンザメか何かのように、ずっと付いてきます。可愛いと言えば可愛いのですが、何せ、つついてくるので、チクチクします。・・・Erillは、餌ではありません・・・
 浅瀬には魚はそれなりにしか居ませんでしたが、Tarlinの話では、少し沖に出ると、かなり泳いでいる様子。その魚たちは、Tarlinがデジカメに収めています。サザエ採りの詳しい模様とともに、また後日、ホームページ内にupしたいと思います。
 結局、Tarlinは、この日60個以上のサザエを採取し、午後一時、迎えの船で浜を引き上げました。上司の方は、今年二回目のサザエ採りですでに食べ飽きておられるのか、採ったサザエの大半を私達にお分け下さいました。こうして、100個近くにもなったサザエ、帰宅途中で、Tarlinの別の上司の方の家に立ち寄り、お分けしたのですが、それでも70個近く残っています。現在、冷蔵庫の中は一段まるごとサザエ・・・
 明日は、朝昼晩と、三食ともサザエになりそうです。

2004年7月19日(月) サザエ採り

 今夜の衛星映画劇場は、張藝謀(チャン・イーモー)監督の「初恋の来た道」でした。物語は、父が亡くなったのをきっかけに、息子が若き日の父と母の姿を回想する形で描かれます。チャン・ツイイー扮する主人公の少女が、村に初めて出来た学校に赴任してきた先生に恋をします。最初は遠くから眺めるだけなのですが、教室から漏れる先生の声を、毎日学校まで聞きに行ったり、下校途中の姿を一目見ようと道端でずっと待っていたり、とにかくひたむきで、健気で、可愛らしい。先生とも少しずつ接点が出来るようになり、思いも通じるようになります。
 しかし、そんなある日、先生は突然、村を去ってしまいます。(文化大革命、ということのようです。)先生の車を追いかけて、冬休みの始まる前、27日には戻ってくるという先生の言葉を信じて、雪の中立ち続け風邪を引き、高熱で意識を失い、昏睡状態に陥ってしまう少女に、どうしても気がかりで戻って来た先生が夜通し寄り添ったという下りは、少女といっしょに、切ない喜びの涙を流してしまいました。こんな二人の恋に、少女の母親も、村人も顔をしかめることなく、みんなが少女を応援しているのが、また何とも心温まります。
 想いがかなって、二人が結婚してからも、相手を恋い慕う気持ちは変わらず、40年間欠かさず、学校に旦那の声を聴きに生き続けた、というのが、また素敵です。これこそ、本当の純愛の物語でしょう。
 先生が亡くなった今、町の病院にある遺体を、どうしても村まで歩いて運びたいと言ってゆずらない、今は年老いた主人公。村から町へと通じる道は、先生と主人公の恋を結んだ、大切な大切な場所なのです。この映画では、現在の場面は白黒なのに対し、過去の場面はカラーで描かれますが、その中でも一際鮮やかなのがこの道の風景です。特に、少女が先生を待って、道ばたで佇んでいる一面の黄葉の風景は見事で、詩情あふれる輝きに満ちています。たとえ時が流れ、一生の終わりが訪れても、、生命の輝きに満ちていた時間は、永遠に褪せることなく、とどまり続ける・・・そんな想いが画面からこぼれているような、美しく深い作品でした。

2004年7月22日(木) 初恋の来た道

 昨日水曜日、Erill、久々に梅田で学生時代の友達と会って、映画を見てきました。公開終了間際になった「トロイ」です。本当はTarlinも観たかったのですが、仕事が忙しくて、今回は断念しました。映画の感想は、また「星の竪琴」にUPするとして、楽しかったのが、夕食後に寄ったスーパー成城石井です。
 梅田の地下街で去年あたりから見かけるようになり、ずっと気になっていたのですが、今回初めて入ってみてびっくり。店中が輸入食品で、デパートの食品売り場よりも遙かにいろんな種類が並んでいます。最近は、どんなスーパーにも輸入食品のコーナがありますが、その比ではありません。しかも、他と比べて、安いのです。国内の他の店で買うのと、現地で買うのと、ちょうど中間くらいの値段でしょうか。これなら、値段で買い控えすることなく、海外の物を買うのだからこんな物かな、という感覚で、買うことが出来ます。輸入食品の好きなErillには、とても嬉しい空間です。
 結局、ハーブティーのローズヒップ、ヨーロッパに居たときによく食べていたミュースリと、オーストラリア帰りの人が美味しいと薦めていたティムタムというチョコレート菓子を買いました。これから、梅田に出るたびに寄ってしまいそうです。

2004年7月21日(水) 輸入品専門食品店

 今日は、Erill、午後にTOEIC、夕方からは友人の結婚式の二次会でした。TOEICは、午後3時15分に終了、二次会は夕方6時にスタートなので、時間的には余裕がありそうに見えるのですが、これがなかなかハード。二次会の会場は京都市内なのに、TOEICの受験会場は奈良産業大学という奈良の南部は法隆寺より南に位置する学校、Tarlin・Erill家は、京都府とはいえ、ほとんど奈良の県境に近いので、「越県する場合は、原則的に居住する都道府県に近い会場を割り当てる」という言葉を信じて申し込んだら、どんでもない・・・バスや電車を4、5回乗り継いで、家から会場まで片道一時間半くらいみておかねばなりません。
 これは、さすがにひどいのでは、とTOEICの事務局に抗議の電話をしたら、窓口のお姉さん、インターネットで径路検索し、「電車に乗っている時間が、ちょうど一時間くらいですね。試験会場、乗車時間一時間前後を基準に選んでいます。」と、すげない返答・・・TOEICではこれが標準なんですね・・・インターネットで改めて検索すると、片道二時間かかる会場に飛ばされることもあるとか。諦めるしかないようです。
 希望受験地を最初から京都にしておけばよかったのですが、TOEICを申し込んだ後で、二次会の誘いが来たので、これは不測の事態。奈良産業大学の最寄り駅、三郷から京都駅まで出るには乗り継ぎが順調でも1時間半かかります。結局、試験会場まではTarlinに車で送ってもらって(感謝)、試験終了後は電車で京都まで出ることにしました。
 この日は、Tarlinの話だと家の辺りや、高槻でも激しい雷雨があったようですが、Erillが試験を受けていた奈良県の南では、多少の雨が降ったものの雷鳴は遠くに聞こえる程度、リスニング・テストの英文放送にも差し障りはありませんでした。TOEICの会場内には、中国人らしき女の子が一人、会場を出る時には、ヨーロッパ人らしき金髪の青年を一人見かけました。留学中で、何かの必要に迫られて英語力を試しているのでしょうか。いろんな人が受けているんだな、と感心しきりでした。


 京都での二次会の方は、平安神宮の近くの小さなカフェで立食パーティー。主役の二人は新婦がErillの留学時代の友人で、新郎がドイツ人の男性。来ていた人の半分が新郎方の親族・友人のドイツ人や、オーストラリア人でした。知っている人がいないのでは、と心配でしたが、ちょうど留学時代に何度かお会いしたことのある方が来ていて、その彼女と、その人の知人のデンマーク人の方と話しました。このデンマーク人青年さん、デンマークよりも日本が大好きで、どうしても日本に住みたいとか。その為に長期で来日し、仕事探しに飛び回っているそうです。日本語も、ばっちりでした。北欧では、日本に関心がある人は本当に少ないので、こういう人に会うと無条件に嬉しくなります。ぜひ、求職活動に成功して欲しいと思います。
 新婦さんとは話が出来たのですが、新郎さんとは結局ご挨拶出来ませんでした。が、何と(?)、新郎さんのドイツ人のご両親とはお話をすることが出来ました。特にお母様は、日本の宗教に興味津々で、質問をつぎつぎぶつけてきます。Erill、少しまとまった説明をしようとするのですが、こちらの説明半ばにして、次々と別の質問をしてくれるので、かえってきちんと答えてあげることが出来ません。う〜ん、さすが言葉と論の人々。けれども、ドイツ人にしては小柄で、Erillよりも背が低く、可愛らしい感じの本当に優しそうなご婦人でした。
 帰ってくると、もう10時を大分回っていたので、日曜の楽しみ「新選組!」は見えませんでした。明日、ビデオで観ようと。TOEICといい、二次会といい、何だか濃厚な一日でした。

2004年7月25日(日) TOEICと二次会

 7月3日の日記で、Erillが目をつけた温風式生ゴミ処理機、環境もいいし、手軽に処理できそうなので、ぜひ欲しいと思ったのですが、思ったより電気代がかかることが分かりました。夜中に処理して、深夜料金が適用されるのなら、結構安く付くのですが、我が家では、電力会社との契約内容が、深夜料金の適応がないプランになっているのです・・・
 今回はあえなく諦め、もっと電力消費の安い改善品が出た段階で、買うことにしました。何年先か分かりませんが・・・
 その代わり(?)と言ってはなんですが、Tarlinが、「超音波歯ブラシ」なるものを買ってきました。最近、奥歯が欠けてしまって、3週間連続で歯医者に通っているTarlin、かなりショックを受けたようです。「うーん。歯は一生物よの・・・」と。 そこで、このたぐいの歯ブラシが前々から気になっていたTarlin、思い切って買うことにしたようです。
 ブラシの部分が、その都度取り替えられるファミリータイプなので、Erillも使ってみたのですが、たかが歯ブラシと侮る事なかれ
まるで歯医者さんで歯石とりをしてもらった後のように歯がツルツルになるのです。超音波歯ブラシというのは普通の電動歯ブラシとは異なり軽くブラッシングしないといけないのですが、超音波で歯垢の元になる細菌の連鎖を断ち切る仕組みになっていて、普通に磨いているだけでとても綺麗になります。
 最初は、別になくても・・・と思っていたのですが、これは、とっても重宝。買う時は、それなりにお金を使いますが、歯医者さんに通うお金を考えると、こちらの方が確かに健康的です。果てさて、これで歯医者に通うことがなくなり、元がとれるかどうか。これから一年が楽しみ(?)です。

2004年7月29日(木) 超音波歯ブラシ