2004年5月
   
   
水無月

2004年6月1日(火曜日) 鯉ヘルペス

 6月になりました。昨日のひどい雨も止み、今日は朝から好いお天気です。Erillは、研究会でお世話になっている先生の大学に、資料集めに出かけました。
 大学に行くには、奈良公園を通ります。バスで行くと早いのですが、日ごろの運動不足解消のため、時間があれば、奈良公園を歩いて抜けることにしています。絶好の散歩道です。
 この季節の奈良公園は、修学旅行生で大賑わい。特に興福寺のあたりは、今日も境内一面、人、人、人という感じです。それでも、奈良国立博物館あたりからは通る人もまばらで、ぐっと静かになります。普段は、この後、浮見堂→飛火野でと歩くことが多いのですが、今日は、浮見堂には寄らず、そのまま真っ直ぐ春日大社参堂入り口に出、飛火野へと折れました。
 大学に着いて、作業が一段落し、先生が机に置いておられた朝刊を見てびっくり。浮見堂のある鷲池の鯉が、鯉ヘルペスで大量死したというのです。公園の中でも、お気に入りの場所だっただけに、びっくりしてしまいました。そういえば、いつも人が少なかったのは、そのせいなのでしょうか(そんなことない???)。今日は、たまたま通らなくてよかったと思ってしまいました。
 それにしても、伝染病って怖い。色とりどりの鯉が泳ぐ池の風情を知っているだけに、なんだかとっても残念です。

 TarlinとErillの生活路線は、JR学研都市線と近鉄です。大阪に行くときはJR線、京都や奈良に出るときは、近鉄線を使います。近鉄線はともかく、くせ者なのが、JR学研都市線。使われている方はご存じだと思いますが、事故でダイヤがしょっちゅう狂います。年に数回、ひどいときには月に数回起こります。おまけに、学研都市線はJR在来線の中でも、特にダイヤが激しく乱れます。原因は、京田辺から先の区間が単線であること、そして、TarlinおよびErillが生息する地域は、一時間に二本しか本数がないため、本数の多い地域では気にならないそ遅延が、まともに顕著に現れてしまうことです。一時間や二時間の遅れはざら、目的地にたどり着いた時には、心身ともにくたくたです。 
 今日の被害者は、Erillでした。京田辺で所要があったErillは、途中まで出たついでと、かねてから見たかった映画、「真珠の耳飾の少女」を観に、梅田まで出かけました。用をすませ、JR京田辺駅に行ってみると、電光掲示板に、もう過ぎたはずの時間の電車が表示されています。いやあな予感がしていると、駅員さんが、「どちらまで行かれるのですか?」と聞いてきます。「北新地です。」と答えると、「今朝人身事故が起こってせいで、ダイヤが乱れています。10時20分には快速が出るので、3番ホームでお待ち下さい。」
 時計を見ると、まだ30分はあります。まあ、本を読んでいればいいや、と思ってホームに下りていくと、電車がもう待機しています。電車は、すでにかなりの時間止まっていたらしく、階段近くの車両はすでに人でいっぱい。座るには、端の方の車両まで行かないと駄目でした。
 時間が来て、列車が動き出しました。問題は、ここから。乱れが解消されてない時だと、列車が出だとしても、徐行と臨時停車を繰り返し、目的地まで大幅な追加時間がかかるのですが、今回は、Erillが乗った電車から遅れは解消されたようで、電車は時間通り順調に目的地に着きました。
 それにしても、今日の駅員さんは、親切でした。改札に人が来るたびに声をかけて、発車時刻と線番を案内しています。これがダイヤの乱れの真っ最中なら、各駅に情報が回らず、時間のめどが全く分からない上、通勤・通学の時間にあたると、駅員さんが全然捕まらず、いらいらに拍車をかけられることが往々にしてあります。が、今日は、人が少ない時間帯だったこともあり、駅員さんの対応は、行き届いていました。いつも、こんな感じなら、JRに対する怒りも緩和されるのですが・・・JR、もっと頑張れ!
 夜、仕事から戻ってきたTarlinに聞くと、8時台に乗った人が、ひどい遅れにみまわれていたとのこと。ちなみにTarlinは、毎朝6時代の始発で出勤し、ダイヤが乱れ始めた8時前頃には、もう会社に入っていたので、大丈夫だったそうです。まあ、こんな早い時間から活動する人も、少数派だと思いますが、それにしても、早起きは三文の得?

2004年6月3日(木曜日) 学研都市線と暮らす

  我が家では、カスピ海ヨーグルトを作っています。2002年の10月以来、二回ほど手が回らず菌を死滅させたことがありましたが、Tarlin姉様やErill父様の飼っている菌を分けてもらって、かれこれ一年半ほど作り続けています。カスピ海ヨーグルトには、「明治のおいしい牛乳」が一番、という定評の通り、我が家でもカスピ海ヨーグルト用には、ほとんどこの牛乳を使ってきました。
 ところが、先日、スーパーに行くと、たまたま「明治のおいしい牛乳」が売り切れいていて、その隣に少しお得な値段で「森永のおいしい牛乳」が置いてありました。「森永のおいしい牛乳」は、前に一度試しに飲んだことがありますが、なかなかいい味だったし、今回はこれでいいや、と、こちらで作ってみることにしました。
 出来あがったヨーグルトは、いい感じにトロトロです。我が家では、ヨーグルトは蜂蜜をかけて食べることにしています。早速、蜂蜜をスプーンで落として、口に入れました。
 う〜ん、なかなかおいしい♪ 明治の牛乳で作ったものと比べると、さっぱりして、軽やかな食感です。後味もすっきりしていて食べやすく、TarlinとErillは、明治のより、こちらのほうがおいしいという意見で一致しました。
 濃厚な味が好みだと明治の方がいいかもしれませんが、さっぱり風味が好みなら、森永のほうがよいかも。我が家のヨーグルト菌の寝床は、これから森永のおいしい牛乳になりそうです。
 

2004年6月5日(土曜日) おいしい牛乳

2004年6月6日(日曜日) マイケル・ナイマン再び

 今日は、待ちに待ったマイケル・ナイマンのコンサートの日でした。思えば、最後に聴きに行ったコンサートが1998年のフェスティバルホールでしたから6年ぶりです。その時は2年連続で来日されていたので、これからは毎年来日されるのだろうと、ずっとチケット情報をチェックしていました。「もう、日本が嫌になったのかなー」などと感じながら淋しい思いをしていましたが、漸く再び会える日が来たのでした。詳しいお話は、そのうち、「星の竪琴」のコンサート印象記にまとめたいと思います。

 と、言うわけで今日は、Erill と Tarlin はいそいそとシンフォニーホールまで出かけていきました。 私たちは、大体、開演一時間前くらいにはホールに入るようにしています。なんと言っても、学研都市線を使う以上、万が一にも、「ほにゃほにゃ(この、「ほにゃほにゃ」が私たちとは縁もゆかりもない明石での事故だったりするので勘弁してくださいって感じです)の影響により、運転を見合わせております。ご迷惑をおかけしております。」等と言うことにでもなったら、「ご迷惑をおかけしているではすまーん。」というのが学研都市線です。そうです、他の代替手段がないのです。よく神戸線とかで聞く、「ただいま、阪急・阪神にて振り替え輸送を実施しております。お急ぎの方はそちらへ・・・」などというありがたいお言葉を聞くことはあり得ないのです。一度停まったら最後、動くまでじっと耐えるしかないのです。大事な日に、そんな冒険をするわけにはいきませんので、ちょっと早い目にでるようにしています。
 ですが、このちょっとしたゆとりがコンサートをゆっくり聴くことのできる秘訣でもあります。 開演まで時間はたっぷりとありますので、ホールに着いたら、まずはグランドホワイエ2階で少し腹ごしらえをするようにしています。今日は、Erill は オレンジジュースとドーナツ、 Tarlinは、アイスコーヒーにドーナツでした。 コンサート前に少しお腹に食べ物を入れておくと、何となくゆったりとコンサートを楽しむことが出来ます。しかし、食べ過ぎると睡魔君とお友達になる恐れがあるのでほどほどが大切ですね。
 
 Erillは、時々海外から古本を買うことがあります。主に、学生時代から参加させてもらっている民話の研究会に用立てるためです。今回物色したのは、ノルウェーの昔話と伝説を、標準語で書いた(と思われる)本。故あってノルウェーの民話を調べているのですが、Erillがこれまで手に入れたテキストはどれも強烈な方言で、うんうんうなって調べて、何となく筋は分かっても、どの文も精確に意味がとれない、ということがほとんど・・・
 これはもしかして標準語では?と思われる本あったのですが、すでに絶版。インターネットで古本屋の在庫を探そうと思って、著者名やらタイトルやら、いろいろ入れて試行錯誤することほぼ一年(!)、先日、やっと所蔵している古書店が数件あることを突き止めました。(はっきり言って、キーワードの入れ方が下手だっただけかもしれません。)
 本の個別情報にこだわらず、「ノルウェー、古書店」でキーワードを入れてみると、なんと、北欧中の古書店のネットワーク・サイトなるものが存在していたのでした。このネットワークの検索欄にキーワードを入れるだけで、ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・デンマーク4カ国の、およそ90件ほどの古書店の目録が一発に検索出来ます。世の中便利になったものです。そういえば、日本にも同様のサイトがありますね。
 3件ほどの本屋に注文して、2件は、支払い方法と送料について直ちに連絡が入ってきたのですが、一軒だけ、注文から1週間たった今日、連絡が入ってきました。まあ、いいのですが・・・そろそろヨーロッパは一番いい季節、もしかしたら、担当者が早々と夏のバカンスにでも出かけていたのでしょうか。いずれにせよ、これで本がやって来て、ページを開いたとき、テキストが標準語であればいいのですが、もし方言ばりばりのままだったら・・・大枚はたいて、お先真っ暗です。

2004年6月8日(火曜日) 北欧のネット古書店

 帰省先から、Erillのデンマーク留学時代のフィルムを持って帰ってきました。北欧の他、イギリス、ドイツ、オランダ、ベルギーなどの写真を入れて、ざっと数えて30本以上・・・保管状態があまり良くなかったので、どれくらい使える状態で残っているのか実際にスキャンしてみないとわかりませんが、この中から紹介できそうな写真を選んで、ページを作っていきたいと思います。・・・果たして、どれくらいの時間で出来るか・・・のんびりペースのページ追加になってしまうかもしれませんが、頑張りますので、気長に覗いてやってて下さいm(_ _)m

 6月9日水曜日から12日土曜日まで、Tarlinは福井に出張、その間、Erillは徳島のとある片田舎にある両親宅に帰省していました。Erillのお里は、結構大きな川が流れています。ここの水は、大きな川としてはなかなか澄んでいて、初夏には岸辺に螢が飛び交います。
 両親の話では、今年は去年よりも1週間くらい早く5月25日頃には、もう飛び始めたそうで、6月の2週目ではもう遅いかもしれないけれども、まだ少しは飛んでいるかもしれないということで、だめもとで見に行きました。
 Erillの実家から車で10分行った所に橋がかかっています。そこから川の水面を見下ろすと、かすかにきらめく水面を挟んで、両岸の漆黒の闇の中に、一筋、二筋、ほのかな光の線が現れては消え、消えては現れます。螢です。やはりもうほとんどいなくなりかけている時期のようで、ぽつぽつとまばらに灯っている程度です。はかなげな光が余計にたよりなく、本当に消え入りそうでした。
 結局、一番飛んでいたのは5月の終わりから6月の頭にかけてで、両岸に光の帯が出来るほど沢山舞っていたそうです。それにしても、Erillが子供の頃は、6月の後半に飛んでいたような記憶があるのですが、地球温暖化の影響か、年々早くなっているようです。このままだと、どうなってしまうのでしょう。

2004年6月12日(土曜日) 螢はかなし

 Erillが、インターネットでノルウェーの古書店から買った本が届きました。が、開けてびっくり。送られて来た3冊のうち1冊は、注文してたのと違う本だったのです(**)。Erillが頼んだのは、シリーズ物の冊子のうちの一冊だったのですが、どうやら同じシリーズの別の巻と取り違えられてしまったようです。
 よくよく調べてみると、この二冊は値段も全く同じでした。間違いで届いた本も、ゆくゆくは役に立ちそうなので手元に置いておいて、元々欲しかった本を再注文してもいいのですが、たった一冊のために海外からの送料を負担するのもつらいところ・・・
 改めてインターネットでそこの古書店の在庫を見ると、Erillが注文していた本はリストから消え、手元に届いた本の方はしっかり載っています。このままにしておくのも考え物なので、とりあえず、いったん返品して元の本を送ってもらう方向で連絡を取ってみることにしました。やれやれ〜。

 梅雨の中休みでしょうか、昨日からとても爽やかな青空が拡がっています。
 5月に植えた花たちが元気です。5月の下旬、梅雨の走りで雨がよく降るようになった頃から、目に見えて枝葉を伸ばしています。鉢植えにした苗も、最初は小さくて隙間だらけだったのが、今は鉢一杯に葉を広げ、花を咲かせています。園芸をしていると、植物にとって梅雨の雨はとても大事なものであることが、今更ながら改めてよく分かります。
 

2004年6月14日(月曜日) 恵みの雨

 今日は、Tarlin は出張。 Erill は大学で講義の聴講をさせていただいて、帰りが同じくらいの時刻になったので最寄り駅で待ち合わせました。お家に帰るにはその後、バスを使うのですが、Tarlin は、バスの運賃を支払う時、Erill の驚くべき姿を見ることができました。
 バス運賃の支払いは降車時に支払うというものです。この時、私たちが使うバス会社では、ずばり「バスカード」というプリペイドカード(「スルッと関西」ではありません)を発行しており、これが10%以上もお得(「スルッと関西」も見倣って欲しいものですな。 ・・・関西に住んでいる人にしか分からないローカルな話ですみません)なので、私たちも愛用させて頂いております。
 しかし、このカードがちょっと曲者で、残高がカードに記載されないのです。前回支払った際、バスの読み取り機に表示されるので、それを頭に入れておけば残高は把握できるのですが・・・。 そしてノーテンキな我がErill 君はもちろん、読み取り機に表示された金額をインプットしておく記憶回路は持ち得ていませんでした。少なくとも、今日までは・・・

2004年6月15日(火曜日) 成長したErill

 これまでよくあった Erill の行動形態を怒られない(本当か?)範囲でご紹介しますと、残高が足りない、というか、残り30円くらいの箸にも棒にもかからないカードを読み取り機につっこんで、機械に怒られてしまったことがあります。このような場合、新しいカードを再投入(不足分を引き落としてくれます)するか、不足分を現金で精算すればよく、Tarlin のように良識ある社会人は、事前に準備しておいて、後の人や乗客の皆様を私事にてお待たせするようなことはありません。ですが、Erill は、この箸にも棒にもかからないカードを突っ込んで初めてその事態の重大さに気付き、「あっ、あっ」と焦りだし、現金で支払おうとするも、今度は、「それは、いくらなんでも無茶でしょ」というような、しわくちゃの千円札しかもっておらず、両替機とそのしわくちゃ1千円札のキャッチボールを延々と繰り返す羽目になりました。バスを発車させられない運転手さんもさすがにいらついてきたようでしたので、Erill の罪はTarlin の罪と、先に降りていたTarlin が慌てて自分のカードで精算して事なきを得るというようなことです。
 このようなことがあった後には、Tarlin は Erill にこんこんと社会人としての生きる道を諭すのですが、一時ベストセラーになった「・・・地図を読めない女」という本に書いてあったことと同じように、元来女性は、あまり気にしないのでしょうか、それとも残高不足のカードで上手く通過できたらラッキーと思っているのでしょうか、もしや、魔法で・・・ いずれにせよ改まることはありませんでした。 
 それが何と今日は、降車の際、Erill は、残高不足のカードを投入する前に、運転手さんに「2枚入れます。」と言っているではありませんか。 Tarlin は一時自分の目と耳を疑いましたが、Erill は2枚のカードを使って堂々と降車してきているではありませんか。
 成長したErill を見れて少しばかりの幸せを感じたTarlin でした。

 昨日、ノルウェーの古書店に間違えて送ってきた本を取り替えてもらいないかメールで問い合わせたら、今朝さっそく返事が入っていました。気の毒なくらいの平謝りで(まあ、当然の対応といえば、そうなのですが・・・)、直ちに本来の本を送ってくれるとのこと。しかも、間違いでこちらに来た本は、返品しないでよいそうです。それは、そうかも。だって、向こうさんが負担しなければならない送料だけでばかになりませんものね。いずれにせよ、ラッキ〜!結局、一冊ただで頂いてしまいました。

2004年6月16日(水曜日) ノルウェーの古書店

2004年6月20日(日曜日) Tarlin細菌を飼う

 しばらく日記をお休みしてしまいました。Tarlinが体調不良を起こしたり、Erillが何かと忙しかったりで(魔法使い修行中といえども、忙しいことはある!)、やっと昨日辺りから落ち着いてきました。
 ことの発端は、木曜日。お昼過ぎ、Erillがいつものように二階の部屋でパソコンの前に座っていると、なにやら階段を上ってくる足音が聞こえ、部屋のドアが開く気配がします。こんな時間にTarlinが帰ってくるはずもないし、ま、まさか、不審者・・・?と思って身構えると、そこにはTarlinが、気だるい表情で立っているではありませんか。「Erill、携帯に電話したのに何で出んの!?調子が悪いから帰るって、メールも入れたし、電話もかけたのに。」
 えっ!?慌てて机の隅に置いてあった携帯を見ると、しっかりとTarlinからのメールと電話の着信履歴が入っていました(**)。ちょうど、一階で昼ごはんを食べていて、携帯は二階の部屋に置き放しにしていて、気付かなかったのです。それにしても、それなら、家の電話にかけてくれればいいのですが・・・
 体調が悪くて会社を早退してきたTarlinの体温を測ると、熱が38度を越しています。体の節々が痛く、食欲がないので、夏風邪かなと言いながら、とりあえずTarlinは一眠りして、夕方、近所のお医者さんに診てもらいに出かけました。ほどなくして、Tarlinが帰ってきたので、「どうだった?風邪?」と聞くと、「違う。細菌だって。」「え、細菌???いったい何なの?何の細菌?」
 近頃のお医者では、粘膜を採って、病原体がウィルスかどうか判定する簡単な検査をその場で実施してくれます。ウィルスではなくて、細菌であることは確実に分かるそうですが、何の細菌かまでは分からないそうです。
 次の日、Tarlinは、出張の予定でした。どんなに熱があっても、病み上がりでも、仕事に出ねばなりません。こんな時は、注射か点滴で一気に元気を取り戻したいもの。ところが、我が家のかかりつけの医者は、徹底した(?)自然治癒主義で、これまで翌日の予定がかなりハードな状況だと話しても、注射や点滴を施されたことは一度たりとてありません。今回もErillはTartlinに注射を頼んでみるように言ったのですが、Tarlinは行く前からあきらめモードでした。
 Erillは気になって尋ねました。「で、先生はどうしろと?注射はしてもらった?」
「ううん。よく休みなさいって。」・・・先生が、風邪などの時に、いつもおっしゃる言葉です・・・
 「明日は出張って話した?」
 「言ったよ。えっ!て、びっくりしてた。」
 「えっ」て、絶句をすくらいなら、何か処置を施してよ〜!確かに、本来なら自然治癒に任せる方が理想的だし、お薬も控えめで、過剰医療をなさらない良いお医者様なのですが。
 結局、Tarlinの身体に入り込んだ細菌は、高熱のおかげで一夜にして絶滅、次の日には見違えるように完全復活し、出張どころか、その後夕刻から会社に戻り、飲み会まで参加して、あきれるErillを尻目に夜遅く帰宅したのでした。
 Tarlinと入れ違いに、今度はErillがクーラーのせいで調子を崩し、夏風邪を引いてしまいました。幸い熱もなくく、喉が痛く身体がだるい程度だったので、土曜日にはしっかり近場のホールでの映画上映会に行き、お気に入りの「マスター・アンド・コマンダー」の二回目を見てきました。クライマックスは、一回目よりも感極まりました。
 それにしても、Tarlinが一夜だけ飼った細菌、一体何だったのでしょう?

2004年6月21日(月曜日) 台風、タマゴッチを呼ぶ

 台風6号がやって来ました。Tarlinは朝早く家を出、台風が近畿を縦断した午後はもちろん会社でお仕事、夜遅く帰ってきたので、台風の影響は受けませんでした。一方、Erillは一日中ずっと家にいました。
 TarlinとErillが住んでいる所は、もともと雨が多くない上、家の前が竹やぶで風を防いでくれる為、台風でも風雨が多少激しくなる程度です。いつ台風が来たのか、拍子抜けしてしまうほどです。台風の多い徳島南部で育ったErillには、物足りません。あ、もちろん災害は困りますし、その可能性が低いのはいいことです。
 実は、Erill、台風の風雨が好きです。特に台風が近づいた夜、布団の中で、風が轟々と唸り、雨が激しい太鼓のように戸を叩くのを聴いていると、自然の大いなる威力を感じ、心躍るのです。ちなみに、宮崎駿監督も、「となりのトトロ」を製作した時、台風にわくわくする子供達の場面を入れたかったそうです。
 が、今住んでいる地域では、台風が来てもなぜか風雨が穏やかで、残念ながら自然の威力に聴き入るまでには至りません。ちょっと残念
 さて、台風が来て、暴風警報が出ると、大人は仕事に行かねばなりませんが、子供達の学校はお休みです。台風で自宅待機中のTarlin姉様の子供達二人(要するに姪っ子ちゃんです)が、家にやって来ました。高2と小6の女の子です。昼食にそうめんを食べ、姪っ子達のお祖母ちゃんにあたるTarlin母様にTシャツの直しを頼んだ後は、リビングでErillといっしょにお勉強です。といっても、Erillは二人の勉強を見てあげるというより、ノートパソコンを一階に降ろして、自分の作業をしていました。一時間くらいすると、妹ちゃんの方が、何やら白い丸いものを取り出して、ピコピコ音をさせています。そうです、昔懐かしい(?)タマゴッチです。(ちなみに、TarlinもErillも持ったことはありません。)
 今から7、8年前に爆発的に流行し、その後、下火になったタマゴッチ。昨年あたりからまた新製品が出て、人気が復活しているそうです。ニュータマゴッチは、他のタマゴッチと通信して、友達になったり、おみやげ(てことは、たまごっち旅行に行くの?)の交換、はては結婚まで出来るとか。う〜ん、これは、もしかして携帯感覚なんでしょうか!?
 ふと、魔が差したErillは、「私も、たまごっち持ってるよ。ほら。」と言いながら、止せばいいのにポケットからグレーの丸い液晶画面のついた物体を取り出し、二人に見せました。すかさず、お姉ちゃんが、「あー、知ってる。万歩計やん。」 妹ちゃんは、Erillのあまりにもどうしようもない行為に、困ったような笑顔で、万歩計を見つめていました・・・
 実のところ、Erillの持っている万歩計を見て、一瞬タマゴッチと思う人はわりといるのです。しかし、さすがに現役の使用者は、ひっかかりませんでした。こうして、台風の一日は、穏やかに、間抜けに過ぎていったのでした。

2004年6月25日(金曜日) ハリー・ポッターと賢者の石

 蒸し暑い日々が続いています。梅雨時とはいえ、六月のこの時期は、こんなにうだるように暑かったでしょうか。まるで、例年の梅雨明け前の7月頃の気温ようで、はたまた地球温暖化の行く末が心配です・・・
 さて、今夜は『ハリー・ポッターと賢者の石』の地上波放送がありました。DVDを持っているのでわざわざ見なくてもいいのですが、地上波放送となると一種のイベント感覚で、ついリアルタイムで見てしまいます。『ロード・オブ・ザ・リング-旅の仲間』や『千と千尋の神隠し』も、DVDを持っているのに、その上、何度も見ているのに、ついつい見てしまいました。
 Erill、ハリー・ポッターシリーズの原作は、一応英語で3巻まで読んでいます。4巻と5巻は、映画化される前に読もうといまだ積ん読状態なので、シリーズ全体としては、まだ何とも言えない部分もありますが、一巻は、ハリーといっしょに魔法の世界に足を踏み入れる楽しさがあり、Erillには一番のお気に入りです。主題である愛や友情、勇気といった要素も、分かりやすく効果的に語り込まれ、大人が読むには物足りない面はありますが、子供が読むにはとてもいい本だと思います。
 映画版は、本のイメージを細部までよく映像化していると思います。中でも、Erillの一番のお気に入りは、ホグワーツの蝋燭がが宙に浮かぶ大広間と、動く階段です。
 ただ、何度見ても気になるのは、原作と比べると随分と慌ただしく、場面展開がストーリーを紡ぎながら流れると言うよりは、それぞれの場面を単に繋げただけのような編集で、原作を読まずに映画だけ観る人には説明不足な点です。この消化不良の物語展開は、おそらく脚本のせいでしょう。原作の最終巻が出るのが数年先で、結末が分からないため原作のどの部分が省略可能で、どの部分が不可欠なのか読めないことを考えると、脚本の不備はいた仕方ないところがあるのかもしれませんが、登場人物のせりふに二、三言付け足すだけでもぐっと話につながりが出るのに、と残念な箇所もいくつかあります。
 ハリー・ポッターシリーズの醍醐味は、次々と繰り出される魔法の小道具の面白さもさることながら、登場人物の生き生きした個性と人間描写、そして、あっと驚くようなミステリー仕掛けのストーリー展開にあります。読者の意表をつくような結末を導き出すために、各巻ともいくつもの複線が巧みに張り巡らされています。そこの複線のどれかが欠けてしまうと、なぜそういう結末になるのか分からなくなってしまいます。映画の場合、『賢者の石』はまだいいのですが、二作目の『秘密の部屋』になると、原作が本格ミステリー仕立ての分、ストーリーの説明不足は致命的です。特に最後の謎解きの段階で、重要な複線のうちの一つが種明かしをされないまま終わってしまうため、事件を起こした真犯人と直接の被害者(ロンの妹ジニーですね)が、具体的にどうやって結びついていたのか、かなり意味不明になっていました。そして、そのせいで事件の全体像が分かりにくくなってしまっていました。
 TarlinとErillはDVDで見たのですが、原作を読んでないTarlinは途中から完全に話について行けなくなってしまい、後でErillが原作の筋を説明して、やっと分かったようでした。これは、映画としては相当に不親切で、いいことではありません。
 何はともあれ、原作を読んだ人にはとても楽しい映画です。明日から公開される三作目の「アズカバンの囚人」は、映画館で流れていた予告編を見る限り、雰囲気もなかなかあり、映像が美しいようなので、今回は、映画館で見たいと思っています。でも、その前に、『トロイ』も見たいし、Tarlinは『デイ・アフター・トゥモロ−』が気になるようだし。う〜ん、煩悩は尽きない!?

2004年6月24日(木曜日) 退行したErill

 Tarlin はとっても忙しい。 はっきり言って猫の手も借りたいほど・・・、いや、猫さんはあまり好きではないので遠慮するとして・・・ でも、ほんとに忙しいのです。 でも、今日はなんと、演奏会。後ろ髪を引かれつつも会社を後にして、Erill との待ち合わせ場所に向かいました。、そう、堂々のザ・シンフォニーホールのある新福島駅へと。 しかし、ここで一波乱が・・・ Erill からのメールでは、Erillの方が先に着く電車に乗っているので、当然の如く、私が、「待ったぁ〜?」などとの賜りながら改札を出て行く構図を頭に描いていたのですが、我が、Erill 様は影も形もありません。最初のうちは、 「消える術でも覚えたのかな?」などという馬鹿な想像をしながら、改札付近を探していたのですが Erill は一向に現れません。 5分経っても、10分経っても・・・。 だんだんと嫌ーな予感がしてきました。「もしや・・・」
 やはり、その「もしや」でした。 Erill は 新福島を2駅通り越してから、やっと気付いて戻ってきたのでした。 本人曰く「気付かんかったもん。」 ということで、成長したと思って喜んでいたのも束の間、Erill は、すくすくと退行していたのでした。
 前置きが長くなりましたが、今夜の演奏会は、西本智実さんの指揮する大阪フィルです。思えば去年の4月29日、身体の芯から震えたあの日。今日、再び・・・ 。とにかく大感動の演奏会でした。詳しくは「星の竪琴」の鑑賞記に書くことにしますね。
     ・・・しかし大感動の後には、お寒い現実が・・・ 仕事が・・・  Tarlin は
       翌日、お家に帰ることはなかったとさ。 

 木曜日夜のコンサート鑑賞のあおりを受けて、金曜の夜、徹夜でお仕事をする羽目になってしまったTarlinが、今日のお昼過ぎに帰ってきました。
 てっきりベッドに直行するかと思いきや、Erillの予想を裏切り、Tarlinはテレビのリモコンに直行し、NHKの大河ドラマ「新選組!」の再放送を見始めたではありませんか・・・  
 TarlinとErillはNHKの「新選組!」にはまっていて、毎週欠かさず本放送と再放送を見てます。毎週の習慣でもあるし、これが終わったら寝るのかと思いきや、Erillの心配をよそに、今度はTarlin,、「そうめんが食べたい」とのたまいます。大丈夫なのかと思いつつ、そうめんを茹でて、食べ終わったら寝るのかと思いきや、今度はパソコンに直行して、ウィンドウズ付録のトランプゲーム「スパイダ・ソリティア」を始めました・・・
 「何でそんなハイなの?大丈夫なの?」と心配するErillに、Tarlinは、「徹夜明けってかえってハイって言うでしょ。」と、実に威勢のいい応答です。普段から一日4〜5時間程度の睡眠で大丈夫で、朝もすっきりと早起き出来る、いわば「短眠体質」のTarlinは、徹夜も比較的平気なのです。ちなみに、これまでのTarlinの最高記録は、三日三晩連続稼働だそう。一日七時間睡眠がないと死んでしまう「長眠体質」のErillには、信じられない芸当です。結局、Tarinが寝静まった(?)のは、午後10時前でした。
 世の中の定石通り、短眠体質のTarlinは高血圧気味、長眠体質のErillは低血圧気味です。「朝起きられないのを体質や血圧のせいにするのは不心得者。全ては本人の心がけ次第。」と言う向きもあるかもしれませんが、最近Erillが読んだインターネットの記事によると、高血圧だと睡眠時間は短くて済み、低血圧だとどうしても長くなるというのは、医学的にも正しいそうです。ちなみに、この記事を書かれた医学博士の方ご本人は低血圧気味で、やはり睡眠時間をしっかりとらないと身体がもたないそうです。
 寝起きが悪く、睡眠時間が長めのErillは、Tarlinのように寝る時間が短くて済む体質の人たちが、とてもうらやましいかったりします。でも、医学的にも根拠のあることでは、どうしようもないですね。
 かといって、最近のErill、家内にて修行中をいいことに、睡眠時間がどんどん長くなっている・・・かもしれない。これは、あきらかに体質で片づく範囲を超えている上、修行にも響くはず・・・睡眠を削って働いているTarlinに怒られる前に、早々に活を入れるべし!?

2004年6月26日(土曜日) 短眠体質と長眠体質

 先週の月曜日から、マジック・リスニングなるものを試しています。英語のリスニング力を高めるために、特殊処理を施した効果音と、英語のダイアローグを収録したCDを、毎日必ず一時間、12日間続けて聞き続けるというものです。
 英語を始め、ドイツ語やイタリア語、中国語など、子音の多い言語は、母音中心の日本語に比べて、音の周波数が高いそうです。そのため、低い周波数の音に慣れている日本人の耳には、外国語の高い周波数の音が聴き取れません。これを改善するため、周波数の高い音を集中的に聴いて聴覚の幅を広げ、外国語を聴き取れるようにする・・・という理論の教材、というより聴覚訓練システムです。
 インターネットで体験談を読んだErill、そういえば、英語を聞いていて、聴き取れない時は、どうしも耳がついて行けなくなるような感覚があり、それは、もしかして、この周波数の差のせい?と思いあたり、Tarlinに「面白そうなリスニング教材があるみたい」と、話をすると、Tarlinは一言、「それ、持ってるよ。」 本人曰く、何年か前、まだ独身の頃に買ったはよいものの、何せ非常に多忙の身。毎日一時間を連続12日という条件に使う前からひるんでしまい、その後数年間、新品のまま本棚の最上段に放置していたマジックリスニング・セットを棚から出してきたのでした・・・
 まあ、気負って買った教材や参考書の運命は、往々にしてこんなものかもしれません・・・かくいうErillにも、あまた身に覚えが・・・
 さて、使ってみたマジックリスニング、いきなりエルガーの行進曲「威風堂々」が鳴り渡り、聴き惚れていると、突然音にぼかしがかかったようになり、音が小刻みに左右に飛んだり、小さくなったり、何とも奇妙です。かと思いきや、リラクセーションCDのような流水の環境音が、何とも心地よい眠気を誘います。最初のうちは、慣れない音に耳が驚いて敏感に反応している感じで、時として耳の痛みを感じながらも聴き入っていました。が、6日目が過ぎたあたりからだんだん耳が慣れてきて、最近ではどうしても途中で睡魔に陥るようになってきました。それでもすぐに目が醒めて、何とか訓練は続いています。
 さて、効果のほどは?確かに毎日聴いているNHKのラジオ英会話講座の音が、以前よりは明確に耳に響き、音が過ぎた後も残っているような気がします。でも、Tarlinからは、「成果に応じて、教材費払ってくれるよね!」と言われてるので、あまり進歩しないほうがいい???(笑)

2004年6月29日(火曜日) マジックリスニング